MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

MLB ロックアウトの歴史と今後の展開

メジャーリーグ機構(MLB)と選手会の包括的労使協定(CBA=コレクティブ・バーゲニング・アグリーメント)はデッドラインとされた現地時間12月1日23時59分(日本時間2日13時59分)までに決まらずオーナーサイドによるロックアウトに突入した。

 

 

MLBロックアウト情報

 

2016年にMLBのオーナーたちとMLB選手会が結んだCBAの有効期間は4年間で、日本時間12月2日午後1時59分に失効した。12月3日の記事でも紹介したが、1995年以来、26年ぶりになる。

 

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MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は『The Athletic』で以下のように語っていた。

 

「私たちはかつてもこの道を経験したことがあります。1989-90年にロックアウトを実行しました。1994年にも(交渉を続けるために)その道を選択しました。その選択は誰にとっても良くないものだったと私は考えています。他のスポーツを見ると、労使問題によってシーズンが中断される事態をなるべく防ぐためのパターンができてきています」

 

ロックアウトの歴史

 

1972年の最初のMLBとMLBPAの労使間の闘争はMLBPA側のストライキで13日間で計86試合が中止になった。

 

1994年のストライキは同年8月12日、各チームが最低113試合を終えた後に決行され、残りの公式戦、プレーオフワールドシリーズなどのポストシーズンの試合がすべて中止された。

 

翌4月2日にようやく解除されたが、プロスポーツ史上最長のストライキとなった。結果的に1995年のシーズンは開幕が遅れ、試合数は通常の162試合から144試合に縮小された。

 

この影響で、パドレストニー・グウィンは打率4割達成を逃し、中断時点でナ・リーグ首位の43本塁打を記録していたジャイアンツのマット・ウィリアムズは、当時のシーズン最多本塁打記録61本を更新する機会を失ったという記事を読んだことがある。

 

当時の対立のもとはオーナー側が求めたサラリーキャップ制の導入だったが、報酬抑制のためにオーナー同士が裏で結託する動きなどもその一因だったらしい。

 

連邦地方裁判所の命令でようやく試合再開が決定したが、ファンの失望はあまりに大きすぎた。観客動員数、テレビ視聴率は低迷した。

 

以下、これまでに8回行われ、その内訳はストライキが5回で、ロックアウトが3回となっている。

 

ストライキ5回、ロックアウト3回

 

1972年⇒ストライキで13日間、計86試合中止

1973年⇒ロックアウトで17日、試合中止0

1976年⇒ロックアウトで17日、試合中止0

1980年⇒ストライキで8日間、試合中止0

1981年⇒ストライキで50日間、計713試合中止

1985年⇒ストライキで2試合、試合中止0

1990年⇒ロックアウトで32日、試合中止0

1994年⇒ストライキで232日間、計938試合中止

 

 

ストライキロックアウトの違い

 

ストライキロックアウトの違いは何かといえば、自らの要求が受け入れるまで労働組合(MLBPA)が職場放棄するのがストライキで、逆に合意するまで企業(MLB)が職場から組合員を閉め出すのがロックアウトになる。

 

今回はオフシーズンの時期でありMLBPA側は放棄できる職場(公式戦)がないので、ストライキを実施することはできない、そのため活動を停止する場合はロックアウトになるということらしい。

 

今回はどうなるのか?

 

昨年の60試合による異例の短縮シーズンは、収益の配分を巡って労使間で対立し、その結果、コロナのパンデミックも影響して無観客での開催により、チケット代、駐車料金、売店などの売り上げが消えたらしい。オーナー側はシーズン短縮で31億ドル(約3400億円)の損失を被ったという。

 

オーナー側も今回のロックアウトで収益に影響するようなことは避けたいだろう。放映料を支払っているメディアからの要請もあるだろうからマイナスイメージは避けたい。

 

早期に解除される可能性はない

 

それでは雪解け(ロックアウト解除)はいつ頃になるのかを考えていきたい。

 

上の一覧を見てもらえばわかるが、選手会によるストライキだけがシーズン(試合数)に影響し、オーナーサイドによるロックアウトは期間も短くシーズンに影響を及ぼしていない。

 

ただ、クリスマス前にロックアウトが解除されることはないだろう。そうだとしたら連日、協議の進捗状況が報道されるからだ。

 

包括的労使協定が失効する数日前からFA市場で大型契約が相次いだことを見ても分かるとおり選手側も長い冷戦に突入する準備をしていることは明白だった。

 

年越し交渉は確実で、希望的観測としては明年1月末の2022年度野球殿堂入り投票の結果公表までに決まってほしい。

 

例年、投手と捕手(バッテリー組)たちは2月中旬には春季トレーニングキャンプに集まる。

 

キャンプ期間を短縮することも考えられるが、もし3月にずれ込むようなことがあれば、3月31日のレギュラーシーズン開幕日が4月にズレこむなるだろう。そうなればレギュラーシーズンが短縮され、オーナー側は収益源になる。

 

だから、1月末からバッテリー間のキャンプインまでの2週間の間に決まりそうな気がする。これなら、オーナー側も公式戦が減る事への収益ダウンを避けられ、選手側もトレーニング期間短縮による準備不足を回避できる。

 

 

▽記事参考/引用

 

誰もが不可避と予想するMLBロックアウト!1994年のストライキと何が違うのか?

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/kikuchiyoshitaka/20211116-00268312

 

 

MLBでストライキの可能性 労使協定は今年12月に期限 若手選手の報酬UP、プレーオフ拡大など争点に

 

https://www.zakzak.co.jp/spo/news/210929/bas2109290001-n2.html