今季のMLB最優秀監督賞は、好対照な経歴を持つふたりが受賞している。
MLB2017 Award
ア・リーグ最優秀監督にはツインズのポール・モリター。ナ・リーグ最優秀監督にはダイヤモンドバックスのトーリ・ロブロが受賞。
ツインズのモリター監督は、現役時代に通算3,319安打を放って2004年に殿堂入りした名選手。昨年はワシントンセネターズ時代も含めて116年ぶりの開幕から9連敗するなど59勝103敗だったチームを、今季は、85勝77敗の地区2位で10年以来となるプレイオフまで導いた。
殿堂入り選手が最優秀監督賞を受賞するのは、1989年にボルティモア・オリオールズを率いたフランク・ロビンソン氏に次いで2人目。
ダイヤモンドバックスのロブロ監督は、現役時代にメジャーで7球団を渡り歩いた。そして現役最後の年(2000年)に来日して、当時、若松勉監督が指揮を執っていたヤクルトで過ごした。35歳だった。
当時のヤクルトの内野は豪華な布陣で、ロベルト・ペタジーニ、土橋勝征、岩村明憲、宮本慎也と球界屈指の陣容だった。そのためロブロ選手は29試合の出場にとどまり、66打席で放ったヒットはわずか13本。結局、1シーズンで退団となった。メジャー8年間の在籍で303試合にしか出ていない。
しかし、ロブロにとっては、この日本のプロ野球で過ごした経験が、彼の野球人生を変えたようだ。
その頃、ロブロはすでに監督という仕事に興味を抱いており、ヤクルトでの経験を事細かくノートに記していた。
「日本での経験は、私に新たなたくさんのことを教えてくれました。練習の仕方、ゲーム中の細かな気遣い、いろんな状況に備えることの大切さなど……起こりうる可能性があるすべてのことに対しての対処法を教えてくれました」
そしてロブロはこう続けた。
「私は、日本野球の徹底した教え方が好きだったんです。ただ、本塁打を打てばいいということだけじゃない。守備や走塁の細かさ、そして勝つことに対してのこだわり。日本の野球は、私に新しい知識を与えてくれました」
記事参考:Brad Lefton
ロブロは、今季からダイヤモンドバックスでメジャー監督してのキャリアをスタートさせると、昨季は69勝93敗でナ・リーグ西地区4位だったチームを、93勝69敗と大躍進させプレーオフへ導いた。