良い時と悪い時がはっきりしている今季の田中将大。この日は、3本塁打を被弾して5月14日のアストロズ戦以来のワーストタイとなる1試合8失点(自責点7)を喫した。
MLB2017
残り10試合を切って首位レッドソックスとの差が縮まらないヤンキースだったが、試合は1対8で敗れ首位と4ゲーム差で地区優勝は絶望的になった。100%無理と言い切りたい。
負けられないヤンキースは、エース格のセベリーノを残り試合で3回登板させたい理由から、田中の登板は変更され、この日は中7日になった。
1回は守備の乱れで20球と球数がかさんだが、スプリットを多投して三振を奪い、なんとか1失点でしのいだ。
同点の3回にはソロ本塁打を打たれて勝ち越され、4回にはツーラン、6回には9番打者にグランドスラム(満塁ホームラン)を献上するという、今季何度も見たホームランショーを相手に許し、田中は5回2/3で降板した。
8月の故障者リストから復帰後は、5試合で7イニングを投げる試合が4試合あり、安定した内容だったが、不安の残る結果になった。
ソロホームランなら問題ないという安易な擁護論もあるが、メジャーの3番手や4番手で、この先投げていくのなら、それでもわからないでもない。いわゆるイニングイーターという投手だ。それでも、29試合の登板で35本の本塁打を浴びる先発投手に威圧感はなく見ていてもつまらない。
この日もスライダーとスプリットが約8割近くを占め、高く入ったスプリットや真ん中に入ったスライダーを捉えられていた。
田中のフォーシームはメジャーでは通用しない。さらに、ツーシームは習得中のような球種で被打率は高いというデータがある。だから、スライダーとスプリットが中心になる。
しかし、相手の主砲ドナルドソン(30本塁打)あたりでもフロントドアは、高めの打率.214、真ん中.257、低め.242と弱い。ここにフォーシームを見せ球として投げ込む配球が必要かもしれない。
今季は、右打者のフロントドアで7本の本塁打を許しているので、甘く入ると命取りになり、難しいところだが、フロントドアで勝負しないと、バックドアのスライダーなどに威力が出ない。
田中を弁護するつもりはないが、田中の所属するア・リーグ東部地区は、すべてヒッターズパークで投手には不利な球場ばかり。だから一発は増える傾向にある。
今季12勝12敗、防御率4.94、WHIP1.27。奪三振はキャリアハイの179。奪三振率(K/9)もキャリアハイの9.40。スライダーで空振りの三振が増えた。
与四球率(BB/9)が2.15で4年間の平均が1.70だから、極端に悪化しているのが分かる。相手に研究されて、膝から下の低めのスプリットに手を出さない打者が増えたとも考えられる。
このままではポストシーズンでの先発4番手はジョーダン・モンゴメリー投手、ハイメ・ガルシア投手の方が良いとの記事もあり、ローテから外れる可能性も出てきたという。
一方、メッツの青木宣親は元気だ。22日のナショナルズ戦で決勝打を含む3安打2打点と活躍した。今季9回目の3安打。
メッツ移籍後は打率.315と好調。今季も通算.283、出塁率.332と及第点だが、長打率が.410で低く、メジャー移籍初年度の10本塁打、OPS.787を超えて、オフの契約交渉を有利に進めたいところだ。