ここでも何度か紹介しているが、7月末に1本化されたトレード・デッドラインにより早くも水面下での交渉が表面化している。
フラッグディール・トレード情報
これまでは6月のドラフト会議終了後から、水面下での交渉が始まり、本格的にはオールスターブレイク以降、ウェーバー公示なしのトレード期限(7月末)直前の1週間が非常に活発になるというパターンだったが、今季はもう少し早くなる。というのは現地3月13日、MLBとMLBPA(選手会)との協議で、ルールが改定されたからだ。
それによると、7月31日をすべてのトレード期限とすることで合意。これまでのように7月末と8月末の2つの期限ではなく8月31日のトレード期限を廃止して7月末に一本化した。
この夏の「売り手」になりそうな球団は、ア・リーグではブルージェイズ、オリオールズ、ロイヤルズ、マリナーズ、タイガース。その中で今回は、タイガース(28勝55敗、勝率.337)にスポット当てて紹介したい。
タイガースの地元紙「デトロイト・フリープレス」のアンソニー・フェネックによれば複数の有力候補がタイガースにはいるという。有名な選手としてはニコラス・カステヤノス。タイガースの攻撃ラインナップで「2番ライト」または「2番指名打者」に入ることが多い主力選手だ。
10年にタイガースがドラフト1巡で指名。メジャーデビューは13年だが、14年にはサードでレギュラーの座をつかみ、最近は、主に外野手と指名打者として、ほぼフル出場している。
キャリア7年で、ここまで通算打率.275、102本塁打。OPSは.785だが、最近の4年は.800を超えている。今季も打率.281、出塁率.342、長打率.469、OPS.811。27歳で、今季の年俸は995万ドル。今季終了後にフリーエージェント(FA)になる右翼手としては、ヤシエル・プイーグの970万ドルを抑えてトップになる。
タイガースで今季終了後にFAになるのは6人いるが、32歳から33歳という年齢が多く、過去の実績と27歳というこれから脂の乗ってくる年齢を考慮しても彼ほど見返りを多く期待できる選手はいない。2年前までサードを守っていたので外野とコーナーインフィルダーとしても使える。
フェネック氏によれば昨年もアストロズがカステヤノスのトレードで連絡を取り合っていたという。さらに、もう1球団、インディアンスも昨年は彼の獲得を検討していたらしい。
ツインズを6.5ゲーム差の2位で追いかけるインディアンスは外野陣が実績のない若手ばかり。チームで外野手最多出場のジェイク・バウアーズでさえ打率.238、OPS.708、WAR-0.7という有様だ。
ただ、タイガースが同地区ライバルに簡単には主力を差し出すとは考えにくい。
その他、クローザーのシェーン・グリーンはセーブ22、防御率1.09で魅力のある選手だが、30歳で来季終了後にFAなので、400万ドルという安い年俸を考えても手放さない方が得策だろう。
また、3年目のプエルトリカン、24歳のジョー・ヒメネスは昨年のオールスターにも選ばれたセットアッパーで、今季も奪三振率13.5という速球派。ドジャースやレイズ、ブレーブス、フィリーズ当たりの名前が挙がっているが、個人的には23年までコントロールできるので、そう簡単に手放すとは考えにくい。
▽記事参考/引用