今回限りで中止になるという噂が絶えないワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だが、メジャーリーグ機構(MLB)のロブ・マンフレッド・コミッショナーが、その噂話を否定している。
大会の存続については、ここでも軽く触れたが、さすがに大会1ヵ月を切って「やめるかもしれない」とは言えないだろう。
カナダの「スポーツネット」電子版が伝えたところによれば「マンフレッド・コミッショナーはMLBが2017年以降も、引き続きこの大会に強く関わっていくと主張した」らしい。
昨年、一部の米メディアが「2017年の大会で目立った収益が挙げられない場合は、第4回大会を最後にWBCはなくなる」と報じていた。この噂に対する反論で、同コミッショナーは、大会を続行する姿勢を明らかにしたという。
しかし、チケットの前売り状況などを見る限り、急にWBC大会の人気が高まっているとは考えにくいという指摘もある。
キャンプ地のフロリダ州レークランドを訪れた時の会見で、マンフレッド氏は、「私は常にアイデアに対してはオープンでいる。開催時期やフォーマットなど、WBCをよりよいものにするものならば。しかし、今年が最後のWBCになるという考えは、私は支持しない」とも発言した。
さらに、「私は球団のオーナーたちからも大会をサポートするという同意を得ている。選手たちをチームのキャンプに留まらせたいという考えの関係者もいるだろうが、私はオーナーのレベルではそういうことを見聞きしていない」とも話した。
しかし、カナダのメディアは、WBCが現在も抱える問題を指摘。
その例の一つとして、2017年のカナダ代表チームも、本来はカギとなる選手、レッズの強打者ジョーイ・ボット、フィリーズの外野手、マイケル・ソーンダース、マリナーズの左腕ジェームス・パクストンらの有力選手が代表に入っておらず、捕手のラッセル・マーティンは、ケガのために出場を見送っていて、「ベストメンバーとは言いがたい」ことにも触れている。
米国代表は、過去最強メンバーをそろえたとも言われているが、それに関しても「米国代表は、以前の大会に比べてスーパースター選手が含まれているが、それでもマイク・トラウト(エンゼルス)やブライス・ハーパー(ナショナルズ)という2人の輝かしいスターは出場しない」と疑問を呈した。
トラウトやハーパーといった若手のMVP選手たちの出場辞退は、ここでも以前に紹介した。
WBCは現時点では、ある程度の富と地位を得たベテラン選手たちが、名誉をかけて出場するか、MLBを目指す若手がショーケースとして自分のパフォーマンスを売りこむ場になっているようにも見える。
日本代表も同じで、だから真の意味で「国別対抗戦」になっていないと指摘する声はあるが、それには、歴史を重ねることが必要だろう。
1930年以来、20回、約80年の歴史を刻んだサッカーのように大会のステイタスがないのは当たり前で、歴史の違いは如何ともしがたいものがある。
とりあえず米国代表が決勝までコマを進めて大会を盛り上げ、10回、20回と歴史を重ねない限り、「消滅の噂」は消えないだろう。