村上・岡本・西武勢…日本勢がFA市場を揺らす⁉
米スポーツメディア「The Athletic」が発表した「2025–26年MLBトップFAランキング」に、日本人選手が続々と名を連ね、今オフの移籍市場はかつてないほどの注目を集めている。特に、ヤクルトの村上宗隆、巨人の岡本和真、そして西武の今井達也・高橋光成の2投手が揃ってメジャー挑戦を表明し、“日本人FA選手”に注目が集まりそうだ。
まず注目すべきは、ランキング12位に入った村上宗隆。村上については「3年前、22歳のときに日本プロ野球の新記録となる56本塁打をマークしたときは世界屈指の選手に見えた。その後、打率.254、三振率は21%から29%に悪化した」と懸念を指摘しながらも「パワーは突出しているし、MLBの公式球は彼に合うだろう」と指摘。契約は5年総額1億2000万ドル(約180億円)と予想した。
村上は、肘の手術と脇腹の故障で今季前半を棒に振ったが、復帰後の56試合で22本塁打、打率.273、OPS1.042という驚異的な成績を残した。

米メディアはその圧倒的なパワーと選球眼を高く評価したが、一方で三振率の高さや速球への対応力に懸念を示している。守備面では三塁よりも一塁での起用が濃厚とされ、ドジャースやマリナーズ、ヤンキースなど複数球団が獲得に動く可能性があるとしている。
また、巨人の主砲・岡本和真は23位に入った。岡本はポスティング制度を利用してMLB移籍を正式表明。
通算248本塁打、717打点を誇る右の強打者は、一塁・三塁・左翼を守れるユーティリティ性も評価されているが、米メディアは「バットスピード」や「出塁率」を課題として指摘している。その上で打撃の安定感と安定的な得点力を評価。
一塁の強打者が手薄なオリオールズを有力候補に挙げる報道もあったが、カブス、メッツ、ヤンキースも移籍先候補として挙げられている。契約は3年総額5400万ドル(約81億円)と予想した。
質の高い日本人投手!争奪戦になるかも?
さらに、西武ライオンズからは27歳の今井達也と28歳の高橋光成の2投手がそろってメジャー挑戦を希望している。これまで野手に比べて投手の方が実績を残してきたことから、今オフに移籍する日本人選手の中でも最も注目が集まりそうだ。
今井はFAランキングで33位にランクインし、「速球はMLBレベルでは平均的か、やや平均を下回る」と評価されているが、「多くがスライダーと認識する球種は、むしろスクリューボールのように見える。ここ1年ほどでフォークボール式のスプリッターも加わった。スクリューとフォークは2025年にそれぞれ40%以上の空振り率を記録しており、MLBで成功するにはこれらの球種が鍵となるだろ」と述べ、MLBでの活躍の可能性を示唆した。
元GMのジム・ボウデン氏は「先発3番手として適任」とし、7年総額1億5400万ドル(約230億円)という大型契約の可能性も示唆している。
高橋は46位にランクイン。制球力と球種の多彩さを武器に、菅野智之タイプの投球スタイルと評価されているが、MLBで成功するには球速や球質の向上が必要との見方もある。
この4人の動向は、今オフのFA市場を大きく左右する要因となるかもしれない。日本人選手がMLBのトップFAランキングに複数名入るのは異例であり、各球団の編成戦略にも影響を与えるだろう。
村上と岡本という“和製大砲”に加え、西武の二枚看板が海を渡ることで、2026年シーズンのMLBは日本人選手の存在感が一層高まることが予想される。
この他の日本人選手では、オプションが破棄された場合にFAになるカブスの左腕・今永昇太が25位で、契約予想は2年総額4000万ドル(約60億円)。オリオールズからFAとなった菅野智之の契約予想は1年800万ドル(約12億円)としている。