2025年オフ、サンディエゴ・パドレスは戦力の再整備に向けて多くの課題に直面している。主力選手の多くが契約下にあるものの、ポストシーズン進出、さらにはワールドシリーズを見据えるには、いくつかの重要な補強が不可欠だろう。
MLB移籍・契約情報 パドレス

パドレスのプライオリティは、「適切な監督」の選定だろう。マイク・シルト前監督の退任により、選手補強の前に新たな指揮官の招聘が最優先事項になった。
シルト体制では球団初の2年連続90勝を達成しており、その土台を引き継ぎつつ、さらなる飛躍を目指すリーダーが求められる。
先発ローテの強化
次に重要なのが、エース級の先発投手の確保だ。ディラン・シースとマイケル・キングの両右腕がFAとなり、彼らが担っていたイニングを埋める必要がある。
加えて、先発投手の層の薄さも懸念される。ランディ・バスケスの台頭はあったものの、ダルビッシュ有の今後は不透明であり、他の投手陣の不安定さを考えると、多くの球団同様、先発投手の強化が求められる。最低でも一人は実績ある先発候補を獲得する必要があるだう。
ニック・ピベッタは残留するが、ジョー・マスグローブはトミー・ジョン手術明けであり、先発の柱をもう一枚加えることが理想だ。
長打力・破壊力の強化
また、長打力の強化も課題。2025年は本塁打数がメジャー28位に終わり、ライバルのドジャースと比較しても92本差、総得点で123点差をつけられている。
フェルナンド・タティスJr.やジャクソン・メリルらのパワーを引き出すと同時に、外部からのパワーヒッター補強も視野に入れるべきかもしれない。
ベンチの選手層も整備
最後に、ベンチの選手層も整備が求められる。控え捕手や内野手の補強が必要であり、「2026年版ギャビン・シーツ」のような有能な控え野手の発掘が鍵となる。
総じて、パドレスは戦力の底上げと指揮官の選定を通じて、再び10月の舞台を目指すことになる。
オーナー一族の内紛(経営権争い)
パドレスは、前オーナーのピーター・サイドラー氏が2023年11月に死去。その後、妻のシール・サイドラー氏と3人の子供たちが、ピーター氏の兄弟ロバート氏とマシュー氏をテキサス州の裁判所に経営権の継承を巡って提訴。
球団は2024年12月に長男ジョン・サイドラー氏を新オーナーに任命したが、これに対してもシール氏は異議を唱えている。
こうしたオーナー一族の内紛により、球団の経営方針が不透明になっており、補強予算の確保や意思決定のスピードに悪影響を及ぼしている可能性がある。
前オーナー時代には積極的な補強が行われていたが、現在は緊縮財政への転換が進んでいるとの指摘もある。
このような経営権争いは、フロントの意思統一を妨げ、FA市場での動きやトレード交渉にも影響を与える可能性が高い。パドレスが今オフにどこまで補強を進められるかは、この内紛の行方にも左右されるだろう。