MLB メジャーリーグ物語

海を渡ったサムライ・メジャーリーガーたち

WCSからNLCSへ、若き守護神・佐々木朗希が刻んだ魂の3イニング

メジャーリーグ2025年のポストシーズンロサンゼルス・ドジャースブルペンに突如現れた“光”があった。その名は佐々木朗希。シーズン前のプロスペクト・ランキングでも1位に評価された日本が誇る剛腕が、メジャー初年度の試練を乗り越え、10月の大舞台で眩いばかりの輝きを放っている。そんな佐々木の活躍を簡単に紹介したい。

 

 

鮮烈に復活! 佐々木朗希  

 

 

ワイルドカード・シリーズ(WCS)での衝撃デビュー

 

現地10月1日(日本時間2日)、レッズとのWCS第2戦。8対4とリードした9回、佐々木は5番手としてマウンドに上がった。

 

ドジャー・スタジアムが「ローキ」コールに包まれる中、彼はわずか11球で3者凡退に仕留めた。2奪三振、無安打、無失点。

 

最速は101.4マイル(約163.2km)を記録し、直球はすべて160km超。まさに“怪物”の帰還だった。祈るような気持ちで見ていたが、4点差リードの場面といこともあって堂々としていた。

 

 

NLDSでは“守護神”として君臨

 

フィリーズとの地区シリーズ(NLDS)では、佐々木はクローザーとして2試合連続セーブを記録。

 

第1戦では9回を1イニング、1安打、無失点、1奪三振。第2戦では1点差の9回2アウト1・3塁という極限の場面で登板し、わずか2球でセーブを奪取。

 

圧巻だったのは第4戦。延長戦に突入したこの試合で、佐々木は8回から登板。 なんと10回までの3イニングを完璧に抑え、打者9人に対して被安打0、奪三振2、球数36球中ストライク26球という快投。本塁打王カイル・シュワーバー、MVP経験者ブライス・ハーパーらを次々と料理し、ドジャースのサヨナラ勝利を呼び込んだ。

 

 

 

試練を乗り越えた23歳のクローザー

 

開幕前は新人王候補として注目された佐々木だったが、シーズン序盤は制球難や肩の故障に苦しみ、5月にはIL入り。実際、球速(100マイル)も出ていなかった。

 

しかし、9月にリリーフとして復帰後は無失点を継続している。ポストシーズンでは4試合で計5.1イニングを投げ、被安打1、無四球、無失点という上出来の成績を残している。

 

ファンとチームが信じた“ローキの魂”

 

MLB公式サイトによると、「彼が試合を締めるのは現実的ではない」と慎重な起用を語っていたデーブ・ロバーツ監督だったが、「状況が整えば、朗希が試合を締める」と信頼と手ごたえを感じたようだった。

 

その言葉通り、佐々木は“最優先の選択肢”として、ドジャースブルペンを支えている。

 

 

 

 

佐々木朗希のポストシーズンは、ただの数字では語り尽くせない。 それは、故障からマイナー降格、調整と試練を乗り越えた23歳の若者が、メジャーのポストシーズンという大舞台で仲間とファンの期待を背負い、魂を込めて投げた“希望の球”だった。

 

この秋、ドジャースのクローザーとしての役割を任された朗希が、世界一を目指して道を切り拓いていく姿を、1試合でも多く目に焼き付けていきたい。