MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

【球団人事】タイガースが新編成本部長に元ジャイアンツのスコット・ハリスGMを招聘

 

空席になっていたデトロイト・タイガースのフロント人事が一部決まった。編成部門のトップである編成本部長にサンフランシスコ・ジャイアンツスコット・ハリスGMを招聘したことが公式に発表された。

 

2017年オフには、大谷翔平が移籍先として最終候補に選んだ7球団のうちの1球団(カブス)のフロントとして本人と面談したこともある人物らしい。

 

 

球団人事 タイガース

 

 

現地時間8月10日にアル・アビラGMを解任し、フロントオフィスのリーダーが不在となっていたタイガースだったが、ジャイアンツのGMヘッドハンティングした。

 

 

経歴がユニーク、秀才で努力家?

 

報じられているハリス氏の経歴が異色だ。年齢は34歳。西海岸のUCLA卒業後、2008年~09年が球団のインターン

 

そのあとニューヨークでコミッショナーオフィスで働きながら、トップレベルのコロンビアビジネススクールに入学。

 

働きながらMBA経営学修士)を取得

2012年、25歳でカブスの野球運営部門の部長に抜てきされると、シカゴのケロッグ経営大学院に転校し、仕事と勉強を両立しながら2015年にMBA経営学修士を取得した。

 

カブスは2016年に世界一になったが、カブスのフロントオフィスで働きながらMBAを取得したことになる。

 

「午前1時に(育成の施設のある)フェニックスで飛行機に乗って、シカゴに午前5時に就くと、空港のベンチで眠って、それから授業に出ていた」と、彼の母親がエピソードを明かしている。

 

カブス時代のエプスタイン氏も認める人格と才能

 

カブス時代の上司で現在はMLB機構の相談役のセオ・エプスタイン氏は「頭が良いし、勤勉に働く。そして彼は自分がどこのビジネススクールで学位を取ったとか、コミッショナーオフィスにいたからルールは精通しているとか、偉ぶったりもしない。誰とでも仲良くなり、チームプレーヤーでグループを良くしてくれる。それが重要」と高く評価していた。

 

2018年にはカブスのアシスタントGMに昇進。エプスタイン氏の片腕として選手のスカウティング、契約、トレード交渉、育成、アナリティック(データ分析)と全てこなした。

 

ハリス氏は2019年シーズン終了後、2020年からファーハン・ザイディ編成本部長の片腕としてジャイアンツのGMに就任。

 

2021年にはジャイアンツは107勝をマークし、ドジャースナ・リーグ西地区9連覇を止めている。

 

ジャイアンツのGMとしても結果を出した

 

MLB公式サイトによるとハリス氏加入後のジャイアンツは最初の2シーズンで136勝86敗、勝率.613の好成績をマーク。これは同期間でメジャー3位だったという。

 

カブスのアシスタントGM時代にはカブスの108年ぶりのワールドシリーズ制覇に貢献し、ジャイアンツのGMの時も同地区ライバルの強豪ドジャース相手に実績をつくった。

 

2017年オフには、先に紹介したようにカブスのフロントとして大谷と面談したこともある。

 

その若き才能あふれた人物がタイガースをどこまで連れていくのか、数年後が楽しみになってきた。

 

GM職や監督人事など今後のスタッフ人事にも注目

 

タイガースは、2019年の47勝114敗(勝率.292)、2020年23勝35敗(勝率.397)から2021年にはA.J.ヒンチが監督に就任。

 

2021年77勝85敗(勝率.475)、特に5月以降は69勝66敗と勝ち越したこともあり、ようやく再建期から勝負モードへの転換期を迎えているように見えた。

 

オフには総額300億円を超える大型補強でFA市場からハビアー・バイエズ内野手エドゥアルド・ロドリゲス投手らを獲得。

 

ドラフト全体1位指名のケーシー・マイズ投手やスペンサー・トーケルソン内野手といった若手の台頭も期待されたが、故障などもあり、伸び悩んでいる状態に見える。

 

再建期から勝負モードへの転換期を迎えているタイガース

周囲の期待とは裏腹に2022年シーズンもここまで51勝91敗(勝率.385)と大きく負け越している。

 

その結果としてタイガースは成績不振を理由にアル・アビラGMを解任した。

 

デトロイトの地元紙「デトロイト・フリープレス」などによれば、今季限りで契約が切れるA.J.ヒンチ監督の去就は白紙状態で、新監督の人選を一任されているハリス新GMが来季監督としてエンゼルスを解任されたジョー・マドン氏を招聘する可能性もあるという。

 

タイガースは、来季終了後にはミゲル・カブレラ一塁手と2014年3月に結んだ8年総額2億4800万ドル(約300億円)の契約が終了しペイロールに余裕ができる。

 

そうしたことから(強引に)大谷翔平の移籍先として一部のメディアで取り上げている。

 

移籍の可能性は低いように感じるが、来季以降のタイガースは確実に注目だろう。10年後、ドジャースフリードマンのような王朝を築いているかもしれない。