99日間にも及ぶロックアウトを経て現地時間4月7日にようやく開幕したメジャーリーグだが、昨季からの変更点をルール改正にスポットを当てて紹介していきたい。
注目のルール改正7項目 MLB2022
①ダブルヘッターの7イニング制廃止
今季からはダブルヘッダーはコロナ前と同じ9イニング制に戻った。
②延長戦のタイブレーク制は継続
長時間の延長戦を避けるために今季も延長10回以降は2塁にゴーストランナーを置いて得点が入りやすい場面を演出するタイブレーク制を継続する。
12回から導入する案やゴーストランナーが生還した時の失点を記録上どう扱うかなど、救援投手からのクレームもあったようだ。
③ナ・リーグでも指名打者制(DH)を導入
ユニバーサルDHが採用され、両リーグで原則として投手が打席に立つことはなくなった。これにより(特にベテランのスラッガーなど)就職先が15球団増えた選手もいる。
ナ・リーグの投手にとっては対戦する打者が8人から9人になり、防御率の悪化が予想されるが、打席に立たなくてよい分故障の心配無くなる。
この制度は労使協定でも早い段階で合意していた。これでナ・リーグ球団主催のインターリーグで大谷翔平の出場試合が増えそうだ。
④「大谷ルール」の導入
指名打者のルールが改正され、大谷翔平のような先発投手兼DHとしてスタメン出場した選手は、どちらか一方を交代しても試合に残れるようになった。よって、大谷は降板後もDHとして出場でき、打席数が増加する。
対照となる選手が実質で大谷ぐらいしかいないことから「大谷ルール」と呼ばれている。
⑤期間限定でアクティブロースターの拡大
アクティブ・ロースターが26人から28人に拡大される。ただし、期間限定で現地時間5月1日まで。5月2日から8月31日までは26人制に戻る。
9月1日以降は28人制になるのは昨年と同じ。以前のようなセフテンバーコールアップで40人制に拡大される制度は廃止されている。
⑥サイン交換にウェアラブル端末の使用が可能に
サイン盗み防止と試合時間短縮のために「ピッチコム」というウェアラブル端末によるサイン交換が可能になった。捕手が腕に付けて投手や野手(最大3名まで)に音声で球種、守備位置などの指示を送ることができる。
ただし、「ピッチコム」の使用は強制ではなく、各球団や各選手に使用するか否かの選択権が与えられる。
⑦ピッチクロック、守備シフト制限、ベースサイズ拡大
これは今季からではないが労使交渉で議題として提案されて話し合われた。早ければ2023年シーズンから導入される。
ピッチクロックのようなルールはアメフト、バスケットなどの時間制のある競技では遅延行為などの防止のために以前から採用されている一般的なルール。
NFLなどでもプレー開始(スナップ)が25秒を過ぎると5ヤード罰退などのルールがある。ただし、野球では馴染みがあるかどうかは疑問視する声も多い。
ほかに実現の可能性は薄いが、ロボット審判の導入も検討されているようだ。
ルール改正以外にも大きく変わる制度
そのほか、ドラフト制度が上位6名まで抽選制に変わる「ドラフトロッタリー制」などの変更もある。
これは最低勝率の球団が必ずしも全体1位の指名権を得られなくなる制度で多少は違うがNBAなどでも採用されている。
上位指名権の抽選にはポストシーズン進出を逃した18球団が参加する。
この制度を導入する背景には、「タンキング」と選手会側から指摘されたことがある。これはレギュラーシーズン途中であえて勝とうとせず故意に最低勝率のシーズンにするというやり方。
これにより翌年のドラフト上位で有望な選手を獲得するという姑息な手段を取りにくくなった。