MLB メジャーリーグ物語

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どうなるロックアウト!MLB機構と選手会が1月中に交渉再開へ!!

メジャーリーグ機構(MLB)と選手会の包括的労使協定(CBA=コレクティブ・バーゲニング・アグリーメント)はデッドラインとされた現地時間12月1日23時59分(日本時間2日13時59分)までに決まらずオーナーサイドによるロックアウトに突入した。

 

 

MLBロックアウト情報

 

2016年にMLBのオーナーたちとMLB選手会が結んだCBAの有効期間は4年間で、日本時間12月2日午後1時59分に失効した。12月3日の記事でも紹介したが、1995年以来、26年ぶりになる。

 

 

しかし、ここにきて「The Athletic」や「CBSスポーツ」は、ロックアウトの解決に向けて両者の交渉が1月中にも再開されることを報じている。

 

 

次の会合で即合意にまでは進展しないだろう。ただ、これまでの歴史を見てもオーナー側のロックアウトによるレギュラーシーズンの影響(試合中止)はゼロで、選手会によるストライキの場合のみ試合が中止になっている。

 

 

ということはスプリング・トレーニングなどの開始時期などを考慮して(逆算すれば)1月末から2月初旬が合意のタイムリミットになる。その時期からずれ込むことがあればシーズン開幕に影響する。オーナー側は試合数減少による収益の損失だけは避けたいからだ。

 

 

1972年⇒ストライキで13日間、計86試合中止

 

1973年⇒ロックアウトで17日、試合中止0

 

1976年⇒ロックアウトで17日、試合中止0

 

1980年⇒ストライキで8日間、試合中止0

 

1981年⇒ストライキで50日間、計713試合中止

 

1985年⇒ストライキで2試合、試合中止0

 

1990年⇒ロックアウトで32日、試合中止0

 

1994年⇒ストライキで232日間、計938試合中止

 

 

今回のCBAの焦点は?

メディアによると「MLBは経済面の重要な新提案を選手会側に対して行う準備をしている」ということだ。

 

 

今回の交渉では、現行で「ぜいたく税」の対象となるチームの総年俸2億1000万ドルの上限を1億8000万ドルまで引き下げようとするオーナー側に対し、事実上の「サラリーキャップ(総年俸の上限)」の導入とみなす選手会側は徹底抗戦する姿勢で、ほかには年俸調停の廃止、FA取得年数の改正などがおもな経済面での争点になっている。

 

 

一方で、選手会は「収益分配の見直し」や、「サービスタイム(MLS)の故意的な操作」、「タンキング問題」の解決を望んでいるという。

 

 

MLSに関しては故意にデビュー時期を遅らせて年俸調停権やFA権取得を遅らせる操作のこと。それにより球団側は1年でも長く安く選手をコントロールできるメリットがある。

 

 

タンキング問題とはMLBマチュアドラフト制度の「完全ウェーバー制」の盲点をついて、シーズン中に故意に戦力を放出するなどして下位を狙い次の年のドラフト上位指名権を獲得して有望な選手を指名する方法。

 

 

これで獲得した若手有望株は、内部育成でチームのコアになる者や、またはトレードの有力な“交換要員”として使われる。

 

 

カブス(2016年)やアストロズ(2017年)がチームを完全に解体する「タンキング」を経てワールドシリーズ制覇を成し遂げたことにより、球界では安易なタンキングが流行しているという指摘もある。

 

 

大物代理人スコット・ボラス氏も指摘

菊池雄星などの代理人で、これまでも巨額の契約交渉をまとめてきたスコット・ボラス氏もこの「タンキング問題」を指摘。

 

 

「2022年に勝とうとしているのは17球団だ」とゼネラルマネージャー(GM)会議の席でぶちまけ、他の球団は優勝を狙うための努力をしていない、とした。

 

 

NFLなどに比べ人気が長期低落傾向にあるMLBだが、近年は、巨額のテレビ放映権収入などにより、メジャー全体の収益は大幅にアップ。各球団の資産価値もNFLほどではないが着実に上がり続けている。

 

 

それ故に選手たちや代理人は、事実上の「サラリーキャップ(総年俸の上限)」の導入とみなす「ぜいたく税」のしきい値を下げる協定の改定に反発しているということだ。

 

 

オーナー側からしても長期契約で数百億円を支払う契約もあり、契約金額の高騰による収益の圧迫などは、球団経営の根幹にかかわる問題だけに落としどころは難しく、場合によっては一部の事案はとりあえず“棚上げ”にしてシーズンをスタートし、交渉が長期化(複数年化)することも予想される。

 

 

 

 

 

▽記事参考/引用

 

誰もが不可避と予想するMLBロックアウト!1994年のストライキと何が違うのか?

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/kikuchiyoshitaka/20211116-00268312

 

MLBでストライキの可能性 労使協定は今年12月に期限 若手選手の報酬UP、プレーオフ拡大など争点に

 

https://www.zakzak.co.jp/spo/news/210929/bas2109290001-n2.html

 

 

ロックアウト不可避か…MLBの労使協定失効で泥沼化する交渉の焦点とは<1994年は7カ月半ストライキに>

 

https://number.bunshun.jp/articles/-/850702