MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

青木宣親がDFA 来季は日本球界復帰の可能性もある

 

ブルージェイズに電撃トレードされた後も12試合で32打数9安打、打率.281、3本塁打、8打点と活躍していた青木宣親外野手が、突然、メジャー40人枠から外された。いわゆるDFA(Designated For Assignment)になった。

 

 

MLB移籍情報

 

 

ブルージェイズは今後、青木をウエーバー公示して、他球団からクレーム(獲得申し出)があれば、その球団への移籍が決まる。

 

青木のDFAで、傘下のバッファロー・バイソンズからリオネル・カンポス投手が昇格した。

 

しかし、この措置は複雑なメジャーリーグ機構(MLB)の制度が影響したもので、単なる「戦力外」ではない。

 

ご存知の方も多いが、MLBでは、25人枠の選手を40人枠の中から自由に入れ替えることができないという規則がある。

 

MLBのサービスタイム3年以上の選手は、選手個人の権利が守られていて簡単にマイナーに降格させることができない。だからDFAを行うしかない。

 

 

青木宣親

 

 

このあたりの複雑なMLB規定やそれに伴う青木の今後の動向は、現地で取材されているスポーツライター、菊池慶剛さんの報告を紹介したい。

 

だから日本のプロ野球で考えるような単純な「戦力外」ではない。

 

地元メディアにとっても青木のDFAは予想しない措置で、ファンからは球団SNSに驚きとクレームが多かった。

 

ジョン・ギボンズ監督の説明では「簡単(な判断)ではなかった。彼はチームのためによくやってくれていた。ただ我々は投手の補強が必要だった。(MLB球界では)こうした事態が繰り返されてきたように、どうしても中継ぎ陣がもう1人必要になった。だが数日後にはロースターが拡大されるからね」ということで、9月のロースター拡大(25人から40人)で、再び戻ってくる可能性は十分ある。

 

ただ、青木がブルージェイズに戻っても若手の起用を優先するような起用法を首脳陣は考えており、青木の出場機会は減る事が予想される。

 

青木はウェーバーがクリアになった時点でチームに残留する必要は無く、自らの意志でFAになる道も選択できる。

 

考えてみれば青木の場合は不運だった。あのジャイアンツ時代にも1番レフトでレギュラーを獲得し、オールスターの中間発表で外野手部門4位に選ばれるほど活躍した。しかし、2発の死球で欠場し、故障者リスト入りした。

 

次の年のマリナーズでは前半不調で定位置を獲得できなかった。16年オフでもアストロズは早々と青木の獲得に乗り出した。

 

メジャー6年間の通算で打率.285、出塁率.350、OPS.738、33本塁打、211打点、93盗塁は、本塁打こそ少ないが多くのチームのレギュラー選手と比較しても遜色ないスタッツだ。

 

たとえば、同じブルージェイズのセンター、ケビン・ピラーはメジャーキャリア5年で打率.263、出塁率.302、OPS.702。守備力ではピラーが上だが、打撃成績では青木の方が上回っている。

 

レフトのプレイヤーで比べるとヤンキースのブレット・ガードナーはキャリア10年と長いが通算打率.263、本塁打も83本。

 

青木ほど正しく評価されていない選手も珍しいかもしれない。場合によっては、来季に日本球界復帰もあり得ると予想したい。今後の動向に注目したい。