MLB メジャーリーグ物語

海を渡ってMLBで活躍する日本人メジャーリーガーたち

マーリンズの売却問題は“口約束”の段階、市民は大歓迎!?

 

マーリンズの売却問題

 

オーナー交代にマイアミファンは大歓迎!?

 

メジャーリーグイチロー外野手と田澤純一投手が所属するマーリンズの球団売却について、同球団を所有するジェフリー・ローリア氏がニューヨークを拠点とする不動産開発業者と口頭で合意したと、米経済誌フォーブス(電子版)が9日報じた。

 

フォーブスによると、売却額は16億ドル(約1,800億円)。ただ、記事で「handshake agreement」とあるように、あくまでも口約束の段階だという注釈が付く。

 

新たなオーナーは現金を全額用意できないという報道もあって、球団購入でメジャーリーグ機構(MLB)が一部負債を抱えることになるため、難色を示す可能性がある。

 

 

ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、トランプ大統領の娘婿クシュナー氏の弟が率いる一族企業が関与していると報じており、地元紙等も追随したニュースを報じている。

 

個人的には、反トランプ派のメディアが、「新大統領の一族が関与している」という、平たく言えば「調子にのってメジャーリーグの球団まで買いやがる」というトランプ批評のネタとして、「マーリンズの売却報道」を取り上げたと、最初は思った。

 

ただ、信ぴょう性があるのは、ローリアなら売却するかもしれないという事。

 

かつて、カナダのメジャー球団であるモントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズの前身)を所有したローリア氏は、市や放送局といざこざを起こす一方で、補強のための資金を十分に費やさず、最終的に球団を売却して多額の利益を得たことから、非常に評判の悪かった人物。

 

 

一方、マーリンズは、NFLマイアミ・ドルフィンズのオーナーを務めるウェイン・ハイゼンガー(レンタカー・ビデオショップチェーン経営)が「マイアミは野球のキャンプ地にはなるが、ホーム・チームがないのはいかがなものか」として1993年にフロリダ・マーリンズを誕生させた。

 

1年目は観客動員数300万人を達成。西武ライオンズで5番を打っていたオレステス・デストラーデが加入したことは日本でもニュースになった。

 

1999年より、投資家として成功していたジョン・W・ヘンリーがチームを買収。しかし、2002年に同球団を売却し、1億5850万ドルで現オーナーのジェフリー・ローリア氏がマーリンズを買収した。

 

03年にはワイルドカードから勝ち上がってワールドシリーズではニューヨーク・ヤンキースを4勝2敗で破り、2度目の世界一に輝く。

 

しかし、この直後のオフシーズンでデレク・リーをトレードへ出すなど主力選手を放出する「ファイヤーセール」を断行。その後は13年連続でプレイオフ進出を逃している。

 

歴代オーナーたちが投資目的のような感覚で球団を保有し、選手へ支払う年俸も抑え、更に総年俸が安いためにMLBから支給されるレベニュー・シェアリングや贅沢税の分配金を多く獲得している事などが、「ケチなオーナーが私腹を肥やしている」というイメージとなって市民たちの反感を買っている。

 

 

MLBで6番目の開閉式屋根を持つ新球場は、以前のNFL兼用スタジアムと比べて快適だが、この建設時も、その建設費の7割に相当する約3億6000万ドルを地元の自治体が負担することから、市民に不評なオーナーが経営する万年Bクラスの球団のボールパークに多額の税金が投入されることが物議を醸した。

 

今回の売却報道にCBSスポーツでは、「ローリアオーナーの下では、マーリンズは年俸総額も観客動員も、メジャーリーグの最下位に近かった。新しいオーナーがチームとファンにお金をつぎ込むことは、よい景気づけとなるかもしれない」といった記事を掲載すると共に、地元ファンが喜んでいるSNSを掲載している。