このブログでも10月3日にお伝えしたとおりNPB(日本野球機構)は、日本代表「侍ジャパン」の新監督に小久保裕紀氏が就任することを正式に発表した。
「侍ジャパン」の新監督に小久保裕紀氏が就任
小久保新監督は「プロ野球のみならず日本野球が結束してひとつになる。そのトップチームの監督だという自覚を持って取り組み、強いチームにしていきたい」と抱負を語った。
小久保ジャパンの初陣は11月7~9日、台北で台湾代表との3連戦に臨む。
指導者経験がない中での就任だが「できるかできないではなく、やるかやらないか。勇気を持って決断しました」。小久保氏のプレースタイルを思い出させてくれる頼もしいコメントだ。
日本のスポーツ界の中心である“国技”ともいうべき「野球」。国内で、最も歴史がありステータスがあるプロスポーツ「プロ野球」。
「プロ野球のみならず日本野球が結束してひとつになる。」という言葉のウラには野球界の持つジレンマのようなものが垣間見える。
よく比較されるのが、今年20周年を迎えたJリーグとサッカーというスポーツのひろがり。
◇地域に根ざしたスポーツ文化のひろがり
サッカー「Jリーグの“百年構想”」をご存知でしょうか?
そのひとつに、“サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること”。そして「する」「観る」「支える」、スポーツを楽しみながら世代を超えた触れ合いの輪をひろげる、という理念があります。
ヨーロッパのスポーツ文化をモデルとした構想ですが、自分が住む町に「地域に根差したスポーツクラブ」があれば、こんなスポーツライフを誰もが楽しむことができます。
20年前のJリーグ発足時に当時の川淵チェアマンが「企業名」ではなく、あくまでも「地域名」にこだわったのもそこにある。地域名は、その象徴に過ぎないが、意外と大きな意味を持つ。
ある年、優勝したジュビロ磐田の関係者が「ヤマハという企業名でなく町の名前だったから、これだけ多くの地域のサポーターたちが、弱いときでも支えてくれた」と語ったことがあった。
10クラブでスタートしたJリーグは、このたったの20年間で、活動に共鳴したクラブや町などで約40クラブにまで増えた。
野球文化という素晴らしい伝統と人気がありながら単なる企業の宣伝媒体のひとつとして発展してきたプロ野球との違いはこの理念にある。
その地域に育てられた代表たちが、支えてくれたクラブや地域の人たちのために、たとえ日当1万円でも勝利給10万円でもヨーロッパから馳せ参じて“日の丸”をつける。
「代表として戦うのは応援してくれた人たちのため」(サッカー日本代表の長友選手)。
◇日本代表になることが最高の目標に
プロ野球人気は低迷し、20年ぐらい前までは地上波のゴールデンタイムに放送していた「プロ野球中継」もポストシーズンを除くふだんは見かけなくなりました。
野球人口よりサッカー人口の方が多いと聞いたことがあります。
今回の新生・侍ジャパンの船出にあたり、NPBでは「すべての世代で“世界最強”になることを目指して戦います」とのメッセージを発表した。
そのためには、個人的な意見ですが
①「プロ」「アマ」の組織の枠を超えて国内で一致団結できる体制構築
②代表戦が全選手たちの目標となるようなムードとシステムづくりが必要
③プロ野球から企業の名前を外し、地域名を冠したクラブづくり
日本のスポーツ文化も国際化し多様になった分、各競技でプロ化に以降。なにもプロ野球選手にならなくても好きなスポーツで生計を立てられるようになりつつある。その傾向はますます進むだろう。
これぐらいのことが出来なければ次世代の育成はもとより、スポーツ文化における野球界のステータスは“ジリ貧”になる。
野球界全体で「小久保監督が4年に渡ってトップを務める意義が現われる戦略を打ち出すことが求められる」という事が指摘されていました。私もこの意見に共感します。